
臭い玉は、医学的には「膿栓」または「扁桃膿栓」と呼ばれています。喉の入り口にある扁桃腺には「陰窩(いんか)」と呼ばれる小さなくぼみが多数存在し、そこに溜まった白っぽい塊が臭い玉の正体です。
臭い玉は主に以下の成分で構成されています。
・細菌やウイルスの死骸
・白血球の残骸
・食べ物のカス
・剥がれ落ちた粘膜細胞
大きさは数ミリ程度で、色は白色から黄色がかったものまでさまざまです。表面はツルツルしており、独特のぬめりを持っています。潰すとチーズや発酵食品のような強烈な悪臭を放ち、その匂いの強さから「臭い玉」「匂い玉」「におい玉」などと呼ばれるようになりました。
扁桃腺は、口や鼻から侵入してくる細菌やウイルスを防ぐ免疫器官として機能しています。扁桃の陰窩では常に免疫反応が起きており、細菌と戦った白血球の死骸や、捕らえた病原体の残骸が蓄積していきます。
通常であれば、唾液の流れや飲食によって自然に洗い流されるものです。しかし口腔内の環境が悪化したり、唾液の分泌量が減少したりすると、陰窩の奥に残ってしまい、時間の経過とともに硬くなって臭い玉が形成されるのです。

臭い玉が口臭の原因となる理由は、その成分にあります。臭い玉には硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物が含まれており、これらは卵が腐ったような悪臭を発生させます。
臭い玉そのものが喉の奥に存在するだけでも、呼気とともに悪臭が口から漂う原因となります。さらに問題なのは、臭い玉が崩れたり、膿汁(のうじゅう)と呼ばれる液体が染み出したりするケースです。膿汁は臭い玉が固まる前の状態で、同様の悪臭成分を含んでいるため、口臭を持続的に悪化させてしまいます。歯磨きやマウスウォッシュで口腔内をケアしても口臭が改善しない場合、喉の奥に潜む臭い玉が原因かもしれません。
臭い玉が原因の口臭には、いくつかの特徴が見られます。
・歯磨き直後でも口臭が消えない
・ドブや下水のような強い悪臭がする
・あくびや深呼吸をしたときに特に臭う
・喉の奥から臭いが上がってくる感覚がある
こうした症状に心当たりがある方は、臭い玉の存在を疑ってみる価値があるでしょう。

臭い玉は誰にでもできる可能性がありますが、特にできやすい傾向を持つ人がいます。自分が該当するかどうか、チェックしてみてください。
歯磨きが不十分だったり、虫歯や歯周病を放置していたりすると、口腔内の細菌が増殖しやすい状態になります。細菌数が増えれば、扁桃に溜まる死骸の量も増加し、臭い玉ができやすくなってしまうのです。
口呼吸をしていると、口腔内や喉が乾燥しやすくなります。唾液による自浄作用が低下するため、扁桃の陰窩に細菌や食べカスが残りやすい環境が生まれてしまいます。睡眠時に口を開けて寝る癖がある方も要注意です。
唾液には口腔内を洗浄し、細菌の繁殖を抑える役割があります。加齢やストレス、薬の副作用などで唾液の分泌量が減少すると、臭い玉が形成されやすい環境になってしまいます。ドライマウス(口腔乾燥症)の方は特に気をつける必要があるでしょう。
慢性的な鼻炎や副鼻腔炎があると、鼻詰まりによって口呼吸になってしまいます。また、後鼻漏(鼻水が喉に流れ落ちる状態)があると、扁桃に細菌や粘液が付着しやすく、臭い玉の原因となります。
扁桃炎を頻繁に起こす方は、扁桃の陰窩が深くなったり、炎症によって組織が変化したりしている可能性があります。このような状態では臭い玉が溜まりやすく、また自然に排出されにくくなってしまいます。

インターネット上では、臭い玉を自分で取る方法がさまざま紹介されています。しかし、セルフケアにはリスクが伴うため、安易に試すのはおすすめできません。
綿棒で扁桃を押したり、耳かきで臭い玉をほじり出そうとしたりする方法は、非常に危険です。扁桃の粘膜はデリケートなため、傷つけてしまうと出血や感染を引き起こす恐れがあります。傷から細菌が侵入すれば、扁桃炎や周囲膿瘍といった深刻な症状につながる可能性もあり、無理に取ろうとすることで臭い玉を陰窩の奥に押し込んでしまい、かえって状況を悪化させるケースも少なくありません。
シャワーの水流を喉の奥に当てて臭い玉を洗い流そうとする方法も紹介されることがありますが、効果は限定的です。水圧が強すぎると喉を傷つける可能性があり、弱すぎると臭い玉には届きません。また、水を誤嚥するリスクもあるため推奨できない方法といえます。
最も安全なセルフケアはうがいによる方法です。ただし、通常のうがいでは陰窩の奥にある臭い玉を除去するのは難しいでしょう。ガラガラと喉の奥までしっかりうがいすることで、表面近くにある臭い玉が取れる場合はあります。うがい薬を使用する場合は、殺菌作用のあるものを選ぶと効果的です。ただし、使いすぎると口腔内の常在菌バランスを崩す可能性もあるため、適度な使用を心がけてください。

「臭い玉を取ってほしい」と歯科医院を訪れる方もいますが、歯科医院での臭い玉除去は一般的ではありません。
臭い玉ができる扁桃腺は、口腔内ではなく咽頭(喉)の領域に位置しています。歯科医師の専門は歯や歯茎、口腔粘膜などであり、扁桃腺は診療範囲外となります。そのため、多くの歯科医院では臭い玉の除去に対応していないのが現状です。ただし、口臭の原因が臭い玉かどうかを判断したり、口腔内に別の原因がないかを検査したりすることは可能ですので、口臭が気になる場合はまず歯科医院で相談してみるのも一つの選択肢でしょう。
歯科医院では臭い玉の直接的な除去は難しいものの、口臭の改善に向けたさまざまなアプローチが可能です。
・歯石除去やクリーニングによる口腔内環境の改善
・虫歯や歯周病の治療
・舌苔(舌の汚れ)のケア指導
・口臭測定器による原因の特定
・適切なセルフケア方法のアドバイス
臭い玉以外にも、口臭の原因となる要素は複数存在します。歯周病や舌苔、虫歯などが原因であれば、歯科医院での治療で改善が期待できるでしょう。

臭い玉の除去を専門的に行っているのは耳鼻咽喉科です。喉に違和感があったり、臭い玉が繰り返しできて困っていたりする場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
耳鼻咽喉科では、以下のような方法で臭い玉を除去してもらえます。
陰圧をかけた吸引器具を使用して、扁桃の陰窩に溜まった臭い玉を吸い出す方法です。比較的短時間で処置が完了し、痛みも少ないのが特徴です。
専用のシリンジや洗浄器を使用して、扁桃の陰窩を生理食塩水などで洗い流す方法です。臭い玉だけでなく、細菌や膿汁も一緒に除去できます。
臭い玉が繰り返し発生し、日常生活に支障をきたすほど深刻な場合は、扁桃腺を摘出する手術が検討されることもあります。ただし、手術は入院を伴う大がかりな処置となるため、医師とよく相談のうえ判断する必要があります。
耳鼻咽喉科での臭い玉除去は、保険適用となるケースが多いでしょう。吸引や洗浄のみであれば、3割負担で数百円から千円程度で済むことが一般的です。ただし、初診料や検査費用が別途かかる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

臭い玉は一度取り除いても、生活習慣を改善しなければ再発する可能性が高いものです。根本的な解決のためには、日頃からの予防が重要になります。
口腔内や喉が乾燥すると、臭い玉ができやすい環境になります。こまめな水分補給で唾液の分泌を促し、口腔内を潤った状態に保ちましょう。特に起床時や運動後、空調の効いた室内にいるときは意識的に水を飲むようにしてください。
毎日のうがいは、臭い玉予防に効果的な習慣です。起床後と食後、就寝前にうがいをすることで、口腔内や喉に付着した細菌や食べカスを洗い流せます。ガラガラと喉の奥までしっかりうがいするのがポイントです。水だけでも十分ですが、殺菌成分を含むうがい薬を使用するとより効果的でしょう。鼻うがいも後鼻漏の改善に役立ち、臭い玉予防につながります。
口呼吸の習慣がある方は、意識的に鼻呼吸に切り替える意識をしましょう。日中は口を閉じることを意識し、就寝時に口が開いてしまう場合は、市販の口閉じテープを活用するのも一つの方法です。鼻詰まりが原因で口呼吸になっている場合は、耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることで改善が見込めます。
唾液には口腔内を清潔に保つ自浄作用があります。唾液の分泌を促すために、以下の習慣を取り入れてみてください。
・よく噛んで食事をする(一口30回が目安)
・ガムを噛む(キシリトール配合のものがおすすめ)
・酸味のある食べ物を適度に摂取する
・唾液腺マッサージを行う
特に食事中によく噛むことは、唾液分泌を促すだけでなく、消化を助ける効果も期待できます。
毎日の歯磨きはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯と歯の間の汚れもしっかり除去しましょう。舌苔がたまっている場合は、舌ブラシでやさしくケアすることも大切です。口腔内の細菌数を減らすことは、臭い玉の予防だけでなく、虫歯や歯周病、口臭全般の予防にもつながります。
3〜6か月に一度は歯科医院で定期検診を受け、プロフェッショナルクリーニングを受けることをおすすめします。自分では落としきれない歯石や着色汚れを除去してもらえる他、口腔内のトラブルを早期に発見できます。歯周病は口臭の大きな原因の一つであり、臭い玉と合わせて口臭を悪化させる要因となることもあります。定期的なケアで、口腔内全体の健康を維持しましょう。

口臭の原因は臭い玉だけではありません。口臭が気になる場合は、以下の原因も併せてチェックしてみてください。
舌の表面に付着する白っぽい汚れが舌苔です。細菌や食べカス、剥がれ落ちた細胞などが蓄積したもので、口臭の原因の約6割を占めるとも言われています。舌ブラシで定期的にケアすることで改善が期待できます。
歯周病は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットで細菌が繁殖する病気です。進行すると、硫化水素やメチルメルカプタンといった悪臭成分を発生させ、独特の口臭を引き起こします。歯茎からの出血や腫れがある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
虫歯が進行して穴が大きくなると、そこに食べカスや細菌が溜まりやすくなります。放置された虫歯は神経まで達すると膿を発生させ、強い悪臭の原因となります。痛みがなくても虫歯が進行しているケースもあるため、定期検診で早期発見することが重要です。
糖尿病や肝臓病、腎臓病などの全身疾患が口臭を引き起こすこともあります。また、逆流性食道炎やピロリ菌感染など、消化器系のトラブルが原因となっているケースもあります。口腔内に異常がないのに口臭が続く場合は、内科的な検査も検討してみてください。
臭い玉は喉の扁桃腺にできる白い塊で、口臭の原因となることがあります。自分で綿棒などを使って取ろうとすると、粘膜を傷つけるリスクがあるため避けるべきです。歯科医院では臭い玉の除去は一般的に行われていませんが、口腔内の環境改善を通じて口臭対策をサポートしてもらえます。
臭い玉の除去を希望する場合は、耳鼻咽喉科を受診するのが適切です。ただし、根本的な解決のためには、日頃からの予防が欠かせません。こまめな水分補給やうがいの習慣化、鼻呼吸の意識、そして定期的な歯科検診を通じて、臭い玉ができにくい環境を整えていきましょう。
口臭の原因は臭い玉だけとは限りません。舌苔や歯周病、虫歯なども口臭を引き起こす要因となるため、総合的なオーラルケアを心がけることが大切です。気になる症状がある場合は、まず歯科医院や耳鼻咽喉科で相談してみてはいかがでしょうか。
お口のニオイや汚れ、気になりませんか?
臭い玉予防には、口腔内を清潔に保つことが大切です。まずは定期検診で、お口の状態をチェックしましょう。
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